異変はパリ、シャルル・ド・ゴール空港を出発して5時間ほど経った時に起きた。
「お客様の中に、どなたかお医者様の方おられませんか〜?」
むむ、コントなどで聞いたことのあるセリフである。こんなこと実際に言うんだなぁとか思いながらしばらく待っていると、次のアナウンスが入った。
「当機の中に急患の方がおられるため、今からモスクワへと緊急着陸します。」
なに〜、モスクワと言えば、
美人ポスドク、レナの出身地 去年、学会で行って懲り懲りしたので、もう行くことはないと宣言した場所ではないか!しかも、地図を見ると大幅に戻ることになる。もっと近くの着陸地ないんかい…と思ったが、どーしようもない、飛行機は旋回して再びモスクワへと戻り始めた。
2時間後、飛行機は夜中のモスクワへ到着。
しかし、これは悲劇の始まりに過ぎなかった。とっくに患者は搬送されたはずなのに、待てども待てども飛行機は動かない(-_-;) と、次のアナウンス↓↓
「給油中に機体のトラブルが発見されました。管制官よりパリへ引き返すよう指令がありましたので、機体が直り次第、パリへと向かいます。」
ガーン(~_~メ) 今までのフライトは何だったんだ…。ロシアはビザがないと入国できないので、おそらくそれもパリまで引き返すことになった原因の一つ(?)だろう。
結局、4時間くらい機内で待たされた挙げ句、飛行機は
17時間後にパリに逆戻り。その間、前の席に座っていたちびっ子達はグズらずに、よく頑張った!お父ちゃんは少しイラッとくる軽いしゃべり方の人だったが、子供を励ますためか、ホントに自分も嬉しいのか(たぶん後者)、
「モスクワ着いたよ!○○ちゃん、初めてだねー!!」
ってお父ちゃんがハイテンションで騒ぐと、ちびっ子達も
「やったー!」と喜んでいた。もしボクが子供だったら、
「おやじ、騒いでる場合じゃねーよ。早く大阪帰りてぇんだよ〜!!」
と文句を言ったと思う。
…何はともあれ、見覚えのあるパリ、シャルル・ド・ゴール空港に(6時頃)再び降り立ち、Air Franceの用意したホテルへと移動する。朝飯を食べ、シャワーを浴び、ゆっくりできたので少し落ち着いた。12時に空港に戻り、手荷物検査などを済ませて、よーやく14時半の飛行機へ。
ところが! (-_-;)
定刻になっても搭乗開始のアナウンスがない。どーしたんだろう…と思っていると、
「オーディオ機器のトラブルが発見されました。現在、部品を交換中です。復旧の目途はまだ立っていません。しばらくお待ちください。」
またかい…。正直、このとき疲れはピークに達していた。ボクは気晴らしのために、隣の研究室の後輩達と話しながら、ひたすら人間観察をしていた。ある人は呆れ顔でボーッとしているし、派手なおばちゃん集団は香水の追加購入に精を出す。部下に
「社長!」と呼ばれている人相が悪く田舎臭いオッサンは、部下にすべての手続きを任せながら踏ん反り返っていた。また何人かの人は、フライトアテンダントに詰め寄ってキレていた。ただ、キレてる日本人乗客のほとんどが、
日本語で、
唯一の日本人フライトアテンダントに対して怒りをぶちまけていたので、少し可哀想に思った。
2時間半後、よーやく搭乗が開始され、いざ日本へ!ほぼ満席なのに、またもや(行きの便も、帰りの最初の便も)ボクの隣は空席だった。しかも今回は最前列で、前の人もいない。何かの間違いで
エコノミー的VIP待遇を受けたか、
要注意人物としてマークされていたか、どちらかに違いない。。。
ここから先のことはよく覚えていない。なぜなら、そのストレスの少ないシートで関空到着1時間前まで寝倒したから。結局、パリから関空に到着するまで、
計40時間のフライトだった。ネタとしては出来過ぎだが、もうやめてくれ (-_-;)
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帰りのフライトに関する記事を先にアップしたので、時系列は多少前後しますが、残りのフランス記更新をお楽しみに! アツロー