Miscellany

新居へ
(13.3.31)
 以前「住む所は決まったが、4月1日までホテルで待つ」というようなことを書いたが、実はそれから色々あった。簡単に書くと、契約したアパートの大家さんが「Social Security Number (SSN) を持ってないヤツは無理」と言い、入居を断られたのである。

 この Social Security Number (SSN) というのは、アメリカで身分を証明する ID だが、ボクのような外国人にとって非常に厄介である。なぜかというと、何かを契約しようと思うとほぼ必ず「SSN は?」と要求されるのに、SSN を申請できるのは "アメリカに滞在して 10日 過ぎてから"、しかも申請してから届くまでさらに1週間程要するからである。つまり、アメリカでの生活基盤を整えるために色々と契約を交わさなければならない最初の1~2週間を、ボクら外国人は SSN なしで過ごさなければならないのである。ラボのドイツ人ポスドクも文句を言っていた。ようやく先日ボクの手元にも届いたが、住居・電気・ケータイ・ネット等もろもろの契約が終わった今、もはや無意味な数字でしかない気がする…

 住居のことに話を戻す。そんなわけで、ボクが SSN を持っていないがために契約が白紙に戻った。「制度上、申請できないんだからどうしようもないだろっ。アホかオマエ、静まれ。こちらにおわす御方をどなたと心得る。恐れ多くも先の副将軍、AT だぞ。」と文句も言ったが、ダメだった。
 幸い、不動産の優しいオジサンが空きが出たばかりの別物件を紹介してくれた。こちらの大家さんもやや 堅物 で、色々と契約条件で揉めはしたが、ボクの立場を理解し SSN は要らないと言ってくれたこと、結果的に最初の物件よりもいい条件だったので、入居を決めた。


 4月まで待たずに入居できることになったので、世話になったアンティークホテルに別れを告げる。いい所だったので、誰かボクを訪ねて来てくれる人がいれば、ここを紹介したい。こんなオシャレな空間で食べたお夕食(カップ讃岐うどん、輸入品店で購入)は、格別に美味かったぜ! (^ ^;)


 3月23日(土)、いよいよ新居へ移動。
 そこそこ広いし、あったかいし(ヒーター付き)、快適だぜっ!と思ったが、何もねぇ (- -;) ベッドこそ大家さんから良い物を譲り受けた(買った)ものの、シーツない、枕ない、布団ない、タオルない、ティッシュない…慌てて近所のスーパーに買い出しに行ったが、寝具類は徒歩圏内の店には売っておらず、結局この日は布団なしで寝た。。。
 その後、こちらに在住の日本人の方に電車&徒歩で行ける大型店(Target: 日本のイオンみたいな店)を教えてもらったのと、さらに車で IKEA や家電量販店・日系スーパーに買い出しに連れて行ってもらったので、当面は暮らしていけるくらいの生活物品が揃った。日系スーパー併設のフードコートで食べた、山頭火のラーメンはめちゃくちゃ美味しく感じた。たぶん、日本で食べたらフツーなんだろうが…

 そんなわけで、漸くアツローの生活は落ち着きつつあります (^ ^)/


Made in Japan
(13.3.28)
 街でオッサンが写真を撮ってくれと言って、ケータイを渡してきた。なぜだかそのオッサンはボクを 日本人 だと認識したらしく、

「おまえ日本人だろ!? そのケータイも日本製だし、オレ Japanese Technology 大好き!! うまく撮ってくれよ〜」

 陽気なオッサンだなぁと思いながら、ふとケータイを見たら、

Samsung

って書いてあった。たしかに中身の一部は日本製かもしれぬが…、日本の電機メーカーの栄枯盛衰を見たようで、複雑な気分になった。オジサンには、黙ってケータイを返した。


日本の繊細さ
(13.3.24)
 ボクがアメリカに行くと聞いて、優しい心遣いの先輩が出発前にくれたもの↓↓↓



 携帯ウォシュレット


 そう、アメリカのトイレはショボイのである。公共のトイレのウォシュレットを嫌うのはわかるが、せめて便座ヒーターくらい付いていればいいのにね。

 この戴き物、早速こちらでありがたく使わせていただいている(写真は使用前なので、ご安心を (^.^) )のであるが、ご想像の通り使用時は やや変な体勢 になる。しかも ウィン、ウィーン、シャー って音がするのである。アメリカのトイレは、防犯上、足のスネが見えるくらいドアの下側が開いているので、公共のトイレでこれを使うと小便しているアメリカ人はびっくり仰天、トイレの中に怪しいヤツがいると 警察に通報する かもしれない。

 そんなわけで、今のところは大人しく家のトイレで、ガンガン活躍中!

<13.3.26 追記>
 今日、ラボのメンバーと話していて、面白いことを聞いた。なんでも、今のグループの大ボス(アメリカ人)が日本を訪れた際、ラボのメンバー全員に「日本のトイレには こんな奇妙な機械 が付いている」とトイレの写真付きメールを送ってきたそうである。日本ではそんなの当たり前だぜ、便座もあったかいしウォシュレットもある、と説明してやったらキャッキャッ喜んでいた。


オレのスマホ
(13.3.23)
 おんぼろケータイしか使っていなかったアツローが、まさかのアメリカで スマホ Debut

 色々なプランがあって、どれにしたらよいのか迷っていたが、一つだけ決めていたことがあった。

 それは、AT&T のケータイを買うこと。
(AT&T: アメリカ大手の通信会社)

 なぜなら、ボクは自分の事をイニシャルから AT と呼んでいるから。…ハイ、それだけです。"&T" が一体ダレなのかは、ボクにもわからない。因みに、ラボのメンバーにケータイを見せながら「これ、オレのイニシャル入りだぜ」って自慢したら、いつも通りスベった

 今日エバンストンは、なぜだか寒い一日だった。


マックの国、アメリカ
(13.3.20)
 ボクは、現代っ子らしからず、ファストフードを好んでは食べない。日本でマクドナルドに行く頻度は、せいぜい一年に一度くらいだろう。

 しかし、アメリカに来て2週間で ハンバーガー3回・ピザ3回 食べた。

 そして、もう飽きた (- -;)

 ところで、マクドナルドの初期の店はシカゴ近郊にあったそうで、それを再現したというマクドナルドがあって、フツーのよりオシャレ。


 味はマクドナルドそのものだったが…あと店員がチンタラしているので、日本より出てくるのがかなり遅かった。


GreeeeN
(13.3.18)
 3月17日(日)は、St.Patrick's Day だった。Google で調べたところによると、元々はアイルランドで制定された祝日で、アメリカでは祝日ではないが、緑色の物 を身につけ、騒ぐらしい。何がめでたいのかボクにはさっぱりわからなかったが、シカゴ川がえらいことになる らしいという情報を得たので(Wikipedia)、初めてシカゴの中心街へ出かけてみた。

 エバンストンからダウンタウンシカゴへは、CTA と呼ばれる列車で約45分(2ドルくらい)。一度乗り換えがあるが、行き先によって電車が色分けされているので、わかりやすかった。電車ん中では、学部生くらいの男女が を身にまとい、お祭り状態だった。これがアメリカの標準か…と思いきや、年配の方が睨みつけ、その子たちが謝っていた。

 シカゴといえば、やっぱり摩天楼。ご覧の通り、高くて変な形の建物がたくさん。左下写真はカメラを細工したわけではない。左側の建物(チェイスタワー:Chase Bank の建物)が末広がりに曲がっているのである。建築好きの人は、見ているだけで楽しめるのではないだろうか!?


 街ゆく人々のあちらこちらに、緑の人がいる。で、肝心のシカゴ川がコレ↓↓↓


  The 緑 。同じく Wikipedia によると、水中で緑色に発光する “フルオレセイン” いう発光剤を川にぶちまけているらしい。正直、汚い川だったら、普段からこれくらいの色合いにはなるんじゃないかというレベルではあったが、数カ月後のシカゴ川の色に注目してみよう。
 それにしても、ビルの間で陽が当たらない、風の強いシカゴの道は寒かった。はやく春よ来い。


便と不便と
(13.3.16)
 アメリカは、日本とは比べものにならないくらい カード社会 である。どんなに小さい額でも何のためらいも要らない。少額なら基本的にサインしなくてよいからであろう。先日みんなでピザを食いに行った時、9人で割り勘することになって、各々が割り勘分をカードで支払うことができたのには驚いた。

 やや気になるのが、レストランでのチップの支払いだ。会計をお願いすると、まず食事代(+税金)のレシートを店員が持ってくる。そこでクレジットカードを渡すと、次にチップ と合計金額が空欄のレシートを持ってくる。客はボールペンで空欄を埋める。店員が “Thank you!!” と言いながらレシートを持って行き、それでおしまい。

ぇ、それだけ…!?

つまり、自分の手元には合計金額の書かれたレシートが残らない。ボクが帰った後、せこい定員がチップを上乗せしてクレジットカードに請求するかもしれないじゃん。。。

 マレニーちゃん(ラボのアメリカ人)に聞いたら「レシートを取っておいて、後でおかしいと思ったら訴えるしかない」そうである。どうも腑に落ちない、不合理なシステムである。税込価格の表示、チップのない日本社会に慣れたボクにとっては、どうにもやりにくい。

 因みに、アメリカの物価は昨今の円安も手伝い、決して安くない。$1=80円でも、日本と同じくらいなんじゃないかな…

レストランでのチップは、だいたい20%。税金もイリノイは9%くらい取られるので、メニューの金額は当てにならない。


虹色
(13.3.16)
 信号待ちをしていると、向こうから仲良く手をつないだ二人組がやって来る。

 …よく見たら、オトコ二人組 だった。

 見た目、どちらも極めてフツーの♂。同じ光景を、こちらに来てからもう3度も見た。良いとも悪いとも特に感想はないが、日本では正直あまり見かけることのない光景なので、とりあえず 衝撃的 ではある。


お部屋探し
(13.3.16)
 アメリカでまずやらないといけなかったのが家探し。大学の寮がいっぱいだったので、住むところが決まらぬまま、こちらに乗り込んできた。アメリカの新学期は9月からなので、この時期は人の出入りがあまりない。不動産を何軒かはしごして、実際に部屋を見に行って、何とか住む所を決めた。が、4月1日からしか入れないので、しばらくはホテル暮らしが続くことになった。

 それにしても、エバンストンの家賃は バカ高い。ニューヨーク、サンフランシスコほどではないにしろ、マレニーちゃん(ラボのアメリカ人)曰く「お金持ちも多く、環境が良いためダウンタウンシカゴよりも高い」らしい。学生用アパートで平均でも$1,000 近くする。ボクはつくばで 2DK の部屋に住んでいたが、学生くん並みのワンルームに逆戻りである (> <;)

 不動産との契約は、日本と同じように面倒くさい。細かい字で書かれた契約事項を読まされ、同意したらサインしろという。はっきり言って読む気しない(そして、たぶん理解できない)ので、お金に関する必要事項だけ質問攻めする方が得策である。あと、信頼できる不動産に行くこと。これは現地にいる誰かに聞くのが一番いいと思う。

 日本と違ってびっくりしたのは、まだ人が住んでいる部屋も見学させてくれることである。ボクが最終的に決めた部屋は、まだ人が住んでいるのだが、不動産のおっちゃんが何のためらいもなく鍵を開けて中に入れてくれた。住人は絵を描くのが趣味で、部屋の片付けがやや苦手な女性ということがわかった (^ ^;) 自分が出るときも同じ事をされるのだろうから、気をつけないと。。。

 部屋が空くまで少しでも安いホテルにと思って、ビジネスホテルからやや古めの地元のホテルに移動した。“古め”を逆手に取ってなのか、部屋・朝食の部屋・図書室などレトロな雰囲気を漂わせていて、なかなか良い。フロントにいる レトロな キャシーおばちゃんも、Hi Atsuro!! と言いながら、何かと優しくしてくれる。安宿(いや、日本の価格競争からすると決して安くはないが…)とはいえ、今しばらくはアンティークで優雅な生活を楽しもう。


(左)昔のデパートみたいなエレベーター(現役)。 (右)図書館。


不慣れと慣れと
(13.3.14)
 街中を歩いていると、ボクの後ろを歩いていたヤンキーみたいなヤツが、突然デカい声 でしゃべりはじめてギョッとした。と、今度は向こうから歩いてくる綺麗なお姉さんがいきなりボクに笑顔で "Hi" と話しかけてくる。ジャパニーズ ハンサム ボーイ AT は、アメリカでナンパされるほど人気なのかと誇らしくなった。

 だが、気が狂れたかと思ったヤンキー風の男も、綺麗なお姉さんも、実は ハンズフリー のケータイで、誰かと話をしていただけであった。日本ではあまり見かけないのだが、アメリカにはやたらと多い。結構みんな夢中で話したり笑ったりしているので、客観的に見るとやや気味が悪いと思うのはボクだけであろうか?


(左)Oops!! ってホンモノの人だったら一大事だな。。。街中にあるモニュメント。
(右)キャンパス内の建物。日本の大学と比べたら圧倒的に開放感に溢れてキレイなんだが、なまじ欧米でいくつかの都市や大学を見てきたアツロー。初めてアメリカやフランスを訪れた時のような感動が薄らぎ、「あ〜こういう感じね。」と思ってしまうのがやや悲しい。


新生活
(13.3.11)
 新しい生活を日本ではなくアメリカで、3月11日に始めるというのはどういった意味合いを持つのでしょうか?今日、この日の強い決意を忘れずに、しばらく頑張りたいと思います。

 ミネアポリス、シカゴを経由してたどり着いたのは、エバンストン という街。

 爽やかな春らしい風に緑の木々がゆれ…というのは ウソ で、関東の真冬並みにさみぃ (-_-;) しかも、昨日今日とどんよりした 雨模様。花粉症がなくなったのが、唯一の救いか。


(左)やっぱり大阪が世界の標準やで!
(右)はい、誰も泳ぎません。「NO SKATING / NO ワカサギ釣り」と書くべきだな。

 因みに、凍っているのは池でも海でもなく、ミシガン湖です。


路面凍結注意
(13.2.25)
 アームストロング船長が月面に降り立ったときに言った有名な言葉↓↓↓

That's one small step for a man, one giant leap for mankind.
(それは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな一歩だ。)

 これをモジって、研究室最後のグループミーティングで、

ボクのつくばでの経験は…

That's one small step for mankind,
one giant leap for Atsuro.


できれば、人類にとっても Giant Leap となりますように。
みなさん、どうもありがとうございました。
と、謝辞を述べたら(もちろん、上の写真入り)、完全にスベった (^_^;)

 アメリカ行くまでに、なんか他のオモロいスライドを準備しておかないと。。。


男子三日会わずとも…
(13.1.31)
 昔のボクの声が録音された、おもしろカセットテープを見つけた。

ABCDEFGHIJK *△%…(←クリックすると、音声が聞こえます。)

 どうやら、昔のボクには L M N の発音が難しすぎたようだ (^_^;) ボクもこんな声でしゃべっていたんだな…三十路のオッサンから現実逃避したいときは、このテープを聞こう!

 しかし、さもアルファベットをしゃべれたかのような負けず嫌いな態度は、今も昔も変わっていないな。


みちを啓く
(13.1.10)
 年齢を重ねるにつれ、自我が確立していく一方で、他者との調和の中で生きている自分にふと気付く。時として、そっくりそのまま 相手の望むことが自分の望むこと、ということもある。

 昨年の暮れに、大切な人を亡くした。ずっとボクのことを可愛がってくれた優しい人。このウェブページも頻繁に見てくれていた。その人の最期を覚悟したとき、実は自分の思い描いていた渡航の計画を少し先延ばしにした。その人が逝くのを待っていたわけではないけれど、できるだけ傍に居たい・きちんとけじめをつけたいというのが、まず最初に自分が望んだことだった。

 しかし、そんなある種 “自分勝手な気持ち” を落ち着けて、「その人がボクに望むことは何なのか?」 を考えた。それは疑いなく「ボクが元気よく立派に成長を続けること」ー それが、その人にとっての喜びであり、ボクができる最大限の孝行だと思った。その人の望むことが自分の望むこと、自分のあるべき姿なんだと思うようになった。

 気持ちを切り替えて、思い描いていた渡航の計画を進め始めてすぐ、その人は逝ってしまった。もう誰も使わないであろう仕事場、無造作に積まれたジャズや映画・文庫本の山、大切にしまわれたサックスの名器(Selmer: Mark VI)、それら全ての静けさが虚しかった。
 ボクの将来をもっと見ていてもらいたかった。未知なる世界に入り込んでいくボクを、ずっと応援していてほしかった。そんなボクの望みを、今もその人は喜んで受け入れてくれているのだろうか。

 別れの晩、たぶん初めて一緒にお酒を飲んだ。

 亡くなる少し前、ボクが病院に見舞いに行った時、開口一番ボクに向かって言ったこと…

「山崎、買ってあるぞ。」

ボクがウィスキーが好きだと言って以来、自分は飲まないくせに、いつも高いジャパニーズウィスキーを準備して待っていた。

「もし明日死ぬとわかってるなら、一緒にこれを飲みたいなぁ。」

そんな事も言っていた。それは叶わなかったが、ようやく一緒に山崎を飲んだ。もうたくさん飲んでいいよって。相変わらず香り高くて旨いウィスキーだった。


 見舞いに行って、ボクが病室を出るときの言葉も忘れられない。笑顔ではなく、ボクの目をじっと見つめてただ一言、

「研究、がんばれよ。」



 そんなわけでアツローは色々な想いを込めて、自分のためにも、そしてボクに期待を寄せてくれる人のためにも、全力で前を向いて世界を目指します。みちを啓く、それが今年のボクのテーマです。


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Last modified 13.03.31