一緒に旅に行こう、と最初に話が持ち上がったのがいつだったかといわれると、よくわからない。
カズが「キリマンジャロに登ろう!」と言い出して、僕が断ったときだろうか?前々から、そのような話はいくつかあった気もするが、大阪と北海道という遠く離れた地での生活ゆえ、結局具体的に話が動き出したのは、「この春ネパールにトレッキングに行こう!」となってからである。
計画は順調に進んだ。しかし、それと逆平行するようにネパールの状勢は悪化していった。
ご存知の方も多いかもしれないが、05年2月ネパールでは国王による首相の解任、非常事態宣言の発令、反政府組織(マオイスト)の活動激化など様々な問題を抱えていた。
カズと僕は、ネパール行きについて話し合った。せっかく準備してきた計画ではあるけれど、(ツーリストが直接的に標的になることは少ないとはいえ)もし何かあったらイラク云々の二の舞になってしまう。それに交通手段もかなり限定されてしまうし…。
僕らの旅行案は白紙に戻ってしまった。
代替案を模索する中、カズが聞き慣れない地名を出してきた。それが今回の、インドはシッキム州でのトレッキングである。ネパールには行けずとも、比較的安定しているインドからなら、同じヒマラヤを見に行くことができる!
はっきりいって、それまでシッキム州なんて聞いたこともなかった。それにちょっと調べてみても、国内で得られる情報は、他地域に較べて少ない。
しかし、悩んでいる時間的猶予はあまりなかった。それにインド!僕一人だったら、たぶん行かないだろうなぁ…そんな思いもあった。
こうして僕らの旅は、シッキム州でのトレッキング、コルカタ(カルカッタ)⇔デリー間のメジャールートを電車で廻るということに決まった。“決まった”といっても、固まっていたのはホントに上記のことくらいで、半無計画な状態で乗り込んだわけだが…